- Date2012-10-05
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書画館・仏教絵画室、全面的に展示交換「羅漢図と高僧の御真影」
書画館・仏教絵画室、全面的に交換展示
「羅漢図と高僧の御真影」
○展示場所:国立中央博物館・書画館・仏教絵画室
○展示作品:「高麗仏画・五百羅漢図」など15点
○展示期間:2012.9.18(火)〜2013.5.12(日)
国立中央博物館(館長・金英那<キム・ヨンナ>)は2012年9月18日、書画館・仏教絵画室の作品を全面的に交換した。今年で二回目となる。国立中央博物館の仏教絵画室では2005年の開館以来、仏教絵画の様々な分野を鳥瞰できるよう展示してきたが、昨年の下半期からは、仏教絵画について興味をもって深く知ってもらうために展示交換がある際には一定のテーマにそって紹介するという方法が試みられている。今回の「羅漢図と高僧の御真影」は、昨年の下半期の「冥府殿の仏画」、今年の上半期の「三聖閣の仏画」に続き、三回目のテーマとなる。
羅漢は仏陀の弟子であり、修業によって解脱した存在である。仏画では主に十六羅漢図と五百羅漢図の形式で描かれ、寺院の羅漢殿・霊山殿などに安置される。羅漢は神通力の持ち主とされ、祈祷の対象でもある。一方、高僧とは徳が高く、仏法に通じた僧侶を指す。高僧の御真影はモデルの死後、かなり時間が経過した後に制作され、しかも描き写すことが繰り返されるので本来の容貌とはかけ離れてしまうことも多かった。多くの寺院では代表的な高僧の御真影を制作して追悼したが、とくに師匠の教えを受け継ぐという伝統を持つ禅宗では、高僧の御真影を描いて安置することにより、その教えを記憶にとどめ、学統を受け継いでいることの証しにしようとした。
今回の展示交換では、国立中央博物館が所蔵する羅漢図、羅漢像、高僧の御真影15点が展示される。とくに、高麗仏画の五百羅漢図の2点は見逃せない逸品である。高麗時代の1235〜1236年に描かれた連作の一部と推定されるこの五百羅漢図は、羅漢の神通力に頼って外敵を退け、国家の安寧を祈る高麗時代の羅漢信仰を如実に表している。長い年月が経って色褪せて画面が暗くなってしまい、慎重な保存が求められる状態のため、通常は展示されることのない作品である。今回では「第170慧軍高尊者」と「第357義通尊者」が展示される。
一方、高僧の御真影コーナーではそれぞれの時代を風靡した僧侶の肖像画が展示される。西山大師、四溟大師と共に三大義僧将の一人である騎虚霊圭(?〜1592)、清虚系・鞭羊派(西山大師とも呼ばれる清虚休静(1520〜1604)の系譜の中で、多数を占めていた鞭羊彦機(1581〜1644)の一派)の学僧として名高かった華潭敬和(1786〜1848)など朝鮮時代の錚々たる高僧の御真影である。華潭敬和は経典を読んでいてふと顔を上げたように広げた本の上に眼鏡が置かれていることから、彼の高い学識を強調するという意図が窺える。中国禅宗の初祖として崇められている達磨大師(?〜536)、高麗末期の仏教界に新風を巻き起こした指空和尚(?〜1363)は、インドの僧侶であるにもかかわらず、我が国でも御真影が制作された特殊なケースである。仏画僧(仏画を描く僧侶)という独特な経歴を持つ無鏡観周(19世紀に活動)の御真影も注目に値する。2010年、国立中央博物館が入手し、今回はじめて披露する作品だからである。
羅漢と高僧はすべて仏陀の教えに従って出家し、修業を行った求道者で、かつ先覚者であった。今年の秋にはリニューアルした仏教絵画室で羅漢図と高僧の御真影を鑑賞し、仏教の真の教えと求道の意味について思いに更けるのも良いであろう。
[代表的な作品]
五百羅漢図(第170慧軍高尊者)
高麗1236年、53.9×37.7cm.
五百羅漢図(第357義通尊者)
高麗1235-6年、52.5×36.8cm.
指空和尚の御真影、朝鮮後期、101.5×63.6cm.
華潭敬和の御真影、朝鮮後期、110.0×77.4cm.
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