金銅観音菩薩坐像
  • 年代

    高麗

  • 材料

    金屬 - 金銅製

  • 寸法

    高38.5

  • 番号

    徳寿 801

 面長の顔と体全体に華麗な装飾をつけた輪王坐観音菩薩像である。輪王坐とは、結跏趺坐の姿勢から右膝を立て、その上に右腕を自然に置き、左手で地面をつく安定した姿勢をいう。主に観音菩薩が採る座り方である。輪王坐の観音菩薩像は中国の宋・元代に盛行したが、韓国では高麗後期と朝鮮初期にみられる。
 全体的に金がかかるが、顔と胸、手などの鍍金は部分的に剥落している。目は下を向き、眉の間に白毫を陽刻し、唇には赤色が残っている。頭には化仏が刻まれた華麗な宝冠をかぶり、髪に櫛を入れて結んだ宝髻を高く表現する。髪は黒く塗られ、宝冠の後ろは赤く塗られる。背中を半分ほど覆った天衣は、腕に巻き付いて膝下まで垂れる。
 この金銅仏は全体的な造形と装飾的な表現方法において、ラマ仏像の要素が際立つ作品で、輪王坐の特異な姿勢を有機的な身体比例を通じ無理なく消化した制作者の感覚が表れた秀作である。