青磁陽刻八卦文香炉
  • 年代

  • 出土地点

    新安郡

  • 材料

    陶磁器 - 青磁

  • 寸法

    高14、口径21、底径7.1

  • 番号

    新安 975

中国古代の青銅器の奩や酒樽のような香炉である。口縁は、内側に平らに折り曲げられた形である。胴裾は、少々丸く広がっており、高台が小さく削り出されてある。
下端の高台は、穴があいたままで内側から別のものを付け加えてある。胴裾に付けられた禽獣の三脚は、浮いた状態である。
胴裾と上部には一重の線をめぐらせ、そこに唐草文を各々三つずつ貼り付けている。胴の中央には、八卦文が陽刻されている。高台・高台を取り巻く胴の底部・内側中央を除いては、全面的に緑色釉薬が薄く施されている。口縁および文様の陵線部分などからは、白胎土が見られる。
新安引揚文化財の中からは様々な形の香炉が見られるが、八卦文香炉はそのうちの一つで、大きさの違う香炉が大量に引き揚げられた。似たような形の香炉が、日本の寺院にも伝わっている。
元代の住居址遺跡と1310年(元号至大3年)に作られた泉州の墓からも同じ形の香炉が出土した。1970年、紹興県の環翠塔から出土した青磁もこの香炉と比べ器形や制作技法において共通点が多く、腹部に“福”と“壽”の二文字、牡丹文が貼花されている。この寺院の場合、南宋時代に建立されたものと推定される。