- 年代
朝鮮
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材料
糸織 - 絹
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作家
李命基(1756-?)、金弘道(1745-1806以降)
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寸法
148.8x72.4cm
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番号
徳寿 5688
肖像画とは特定の人物の外観を描いた絵のことをいう。偉大な人物に倣い、あるいはこれを讃え、追悼する目的で描かれた。記録によると、三国時代(紀元前1世紀~7世紀)から描かれたことが確認されるが、わが国で本格的に肖像画が描かれたのは高麗時代(918~1392)からである。現在、残っている肖像画はほとんど朝鮮時代(1392~1910)に描かれたものであり、王、聖賢、国に功績のある臣下、両班、女性、僧侶などの肖像画が伝わっている。
韓国の肖像画は毛一本までも正確に人物が描写され、外観だけでなく、人格と学識などの精神的な面までにじみ出るように描かれている。このような特徴は、誇張された中国の肖像画や装飾的な日本の肖像画とは一線を画す。
トゥルマギ(伝統服のコート)に東坡冠(蘇東坡が作ったといわれていることから名づけられた。朝鮮時代では士大夫が普段着用した)をかぶった徐直修の肖像画はわが国では珍しく、立っている姿が描かれたものである。宮廷画家の李命基が顔を、
顔は何回も色を重ね塗りして陰影を付け、立体感を生かしている。頬のほくろまで細かく描き込まれ、炯炯たる眼光も描写されており、御真影を描いた名高い画家、李命基の技量がよく分かる。陰影を付けて服のしわを立体的に描いたのは、18世紀後半の肖像画の特徴である。黒の東坡冠と胸の紐(細條帯)、白のポソン(伝統服の靴下)のコントラストも強烈な印象を与える。