重要
青磁陰刻蓮華唐草文梅瓶
  • 年代

    高麗

  • 材料

    陶磁器 - 青磁

  • 寸法

    高さ 43.9cm

  • 指定文化財

    97

  • 番号

    徳寿 2656

高麗青磁は9世紀末~10世紀はじめに制作が始まり、12世紀に全盛期を迎えた。美しい翡翠色の釉と象嵌技法が特徴である。この時期の青磁の釉は半透明であり、青磁の表面にはひびがなく、落ち着いた雰囲気の光沢を放つ。当時としては新しい工芸技術である象嵌技法は、文様を刀で彫り、白土や紫土などを嵌め込み、釉を塗って焼く。したがって、青磁は造形美や翡翠の色よりは、透明な釉により鮮やかになる象嵌の文様を極める方向に発展していった。13世紀中盤以降、モンゴル()との戦争により青磁の制作環境が厳しくなり、それ以前の透明な色が失われ、緑褐色や黄褐色の濃い色のものが多くなった。これは朝鮮時代に受け継がれ、「粉青沙器」の源流となった。

丸みのある肩部から緩慢な腰部を経て足にいたる柔らかい流れの線が、高麗青磁ならではの曲線美を表している。胴部全面にわたって、くねくねした蓮華唐草文が太い陰刻の線で華やかに刻まれている。蓮の花を取り囲む唐草文の曲線は、梅瓶の形と絶妙な調和をなす。表面の文様は彫刻刀のような道具により表面を彫って文様を作る「陰刻」の技法が用いられている。