- Date2012-08-24
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国立中央博物館・韓国国際交流財団、「韓国陶磁600年展」をブラジルにおいてはじめて開催
○展示期間:2012年8月16日〜11月25日(103日間)
○場所:ブラジル・サンパウロ美術館(Museum of Art, Sao Paulo, MASP)
国立中央博物館(館長・金英那<キム・ヨンナ>)は8月16日からブラジルのサンパウロ美術館において、朝鮮時代の陶磁器の収蔵品およびその伝統を受け継いだ現代作品など、計96点からなる「韓国陶磁600年展(The Diverse Spectrum:600 Years of Korean Ceramics)」という特別展を開催する。韓国の文化財を南米ではじめて紹介する今回の展示は、韓国国際交流財団(理事長・金宇祥<キム・ウサン>)とサンパウロ美術館と共同で主催される。さらに韓国人のブラジル移民50周年を記念する展示を兼ねている。
1962年12月、103人の韓国人は未知の国、ブラジルへと向かい、船は翌年の2月12日、ブラジルのサントス港に到着した。韓国人によるブラジル移民史のはじまりである。それから50年、ブラジルでは約5万人の韓国の移民者が定着し、韓国の企業も進出を果たし、同国で活躍しているが、ブラジル人にとって韓国はいまだ馴染みのない国である。今回の特別展は、韓国と韓国文化について知ってもらうためにブラジル各地で開催されるコリアフェスティバルのハイライトに当たる。
展示は、国立中央博物館収蔵の朝鮮時代の陶磁器を紹介する第1部と、陶磁器と陶磁器をモチーフにした彫刻やインスタレーション作品など現代の作品を紹介する第2部、この二部によって構成される。第1部では朝鮮時代の粉青沙器11点、白磁56点など計70点が展示される。朝鮮初期に流行った粉青沙器の闊達な美意識が存分に表現された「粉青沙器魚文扁缶」などがその代表である。
白磁は「新しい時代の器-白磁」、「白磁の文様」、「朝鮮のソンビと白磁」に分けて紹介される。最初のテーマでは純白の白磁のへその緒入れ、葬儀用器、祭器などが展示される。純白な白磁は、仏教の国だった高麗の華やかで装飾的な青磁に比べ、現世の理と道徳を探求していた性理学の美意識を端的に示している。「白磁の文様」では富、長寿、多福など、今日にも通じる朝鮮時代の人々の願いが込められた「十長生文壷」、「寿福文碗」などが見られる。最後に、「朝鮮のソンビと白磁」では、朝鮮の白磁を主に使用した学者層のソンビたち愛用の白磁が展示される。鑑賞物としての白磁の壷、日常的に使用していた硯滴や筆入れなどの文具などが展示されるので、朝鮮時代の白磁をより身近に感じることができる。
第2部では、尹光照(ユン・グァンジョ)、盧慶祚(ノ・ギョンジョ)の粉青、金益寧(キム・イギョン)、黄甲淳(ファン・ガプスン)の白磁など、現代の陶磁器と、陶磁器の材料や形をモチーフにした作品など11人の作家の作品が展示される。申相浩(シン・サンホ)は75枚の陶磁器の版画でキルティングのように組み合わせた作品を、朴成泰(パク・ソンテ)は円形の陶磁器に子供の顔を描いて焼き上げた作品を出品している。李受俓(イ・スギョン)は陶磁器を制作する時に破棄される陶磁器片でまったく新しい形の作品を作っている。鄭広鎬(チョン・グァンホ)は本来の陶磁器とは性質が全く異なる細い銅線で編んだ陶磁器の造形を、申美璟(シン・ミギョン)は中国と韓国の陶磁器作品を色とりどりの石鹸で作った作品を出品している。高栄燻(コ・ヨンフン)と具本昌(ク・ボンチャン)は朝鮮時代の陶磁器をそれぞれ絵画と写真で表現した。これらの現代の作品は、朝鮮の伝統作品である陶磁器と調和しながら新しく、奇抜な美意識の世界へ誘う。
国立中央博物館の収蔵品の国外展示事業と国際交流財団のコリアフェスティバルプロジェクトがブラジルを代表する美術館で開かれる今回の特別展は、南米において韓国の文化財がはじめて紹介される記念すべき展示である。また、伝統文化を主に取り扱ってきた国立中央博物館が現代の作品を展示したはじめての試みでもある。これはブラジル人に韓国の伝統美術と現代美術を同時に知ってもらい、より身近に感じられるようにするためである。展示は11月25日まで行われる。今回の展示が韓国とブラジルとの文化交流を活性化し、両国の友好関係をより深めるきっかけになることを期待している。
<第1部:国立中央博物館収蔵の陶磁器>
「粉青沙器魚文扁缶」、朝鮮、15世紀
「白磁瓶」、朝鮮、15世紀
「白磁祭器」、朝鮮、18世紀
<第2部:現代作品>
尹光照、「カオス」、赤土に粉粧、2007
申相浩、「Wrap」、陶磁器、2009