- Date2012-07-16
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2012年6月絵画室の交替展示-新しく展示される朝鮮の絵画
○展示場所:国立中央博物館書画館絵画室
○展示作品:文孝世子輔養庁契屏など46件107点
○展示期間:6月25日(火)~10月21日(日)
国立中央博物館(館長・金英那(キム・ヨンナ))は、収蔵品から重要作品を選び、書画館絵画室(人物画室、山水画室、花鳥・翎毛画室、宮廷装飾画室)に46件107点を展示する。リニューアルオープンする絵画室では、朝鮮初期の安堅(アン・ギョン、生没年不詳)から中期の尹斗緖(ユン・ドゥソ、1668~1715)、後期の謙斎・鄭敾(チョン・ソン、1676~1759)、末期の吾園・張承業(チャン・スンオプ1843~1897)に至るまで、時期別に画壇を代表する画家の作品が展示される。
山水画室では安堅の作品と伝えられている「四時八景図」と、宝物870号に指定された「戸曹郎官契会図」(1550年)、謙斎・鄭敾、玄斎・沈師正(シム・サジョン、1707~1769)、希園・李漢喆(イ・ハンチョル、1812~1893年以降)など、朝鮮時代の画家たちによる様々な作品が展示される。その中でも30歳という若さで夭折した天才画家、古藍・田琦(チョン・ギ、1825~1854)の「渓山苞茂図」が注目に値する。寂しい川辺の風景を簡潔に表現した田琦の代表作である。「戸曹郎官契会図」は約1550年頃に制作された、戸曹の前職・現職の郎官8人の契会(親睦のための集まり)が描写された作品である。16世紀中盤の契会図がどのような形に行われていたかを知る上で重要な資料である。
人物画室では、顔の微妙な陰影処理に優れた尹汲(ユン・グプ、1697~1770)、鄭景淳(チョン・ギョンスン、1721~1795)の肖像画2点、尹斗緖[u1] の「老僧図」、金明国(キム・ミョングク)の「折蘆渡江図」などが展示される。恭斎・尹斗緖は人物と馬の絵に長けた文人画家であり、蓮潭・金明国は朝鮮通信使として日本へ二回渡ったことのある宮廷画家である。金明国はすべてのジャンルに長けていたが、中でも達磨の絵に随一の才能を示していた。無類の酒好きで様々なエピソードが伝わっており、力強い筆遣い、白黒のコントラストがはっきりした墨法、奔放な垂直の画法、鋭く角張った輪郭の線などが特徴である。尹斗緖と金明国の絵が並んで展示されるため、その画風を比較して鑑賞することができる。
花鳥翎毛画室では、朝鮮三大墨竹画家に数えられる岫雲・柳徳章(ユ・ドクチャン、1675∼1756)と紫霞・申緯(シン・ウィ)の「墨竹図」が並んで展示される。朝鮮中期の灘隠・李霆(イ・ジョン)の墨竹画以降、朝鮮時代を代表する二人の墨竹画家である柳徳章と申緯の作品を通じて、空間感と濃淡の変化がダイナミックな朝鮮墨竹画の世界が存分に堪能できる。庶民の風俗を主に描いた檀園・金弘道(キム・ホンド)の「蟹図」も面白い絵である。素晴らしい筆遣いで描かれた蟹もさることながら、「科挙を受験しに行く道々、惣菜にして召し上がれ」と書かれているところは、金弘道ならでは諧謔精神が光っている。張承業の「花鳥翎毛図10曲屏風」は近代画壇にまで多くの影響を与えた張承業が、対象を描写する腕と熟練した運筆の技量により自然世界を繊細に描いた彩色画の代表作である。孫昌根(ソン・チャングン)氏所蔵の南啓宇(ナム・ゲウ)の「花蝶図」と張承業の「翎毛図」も公開される。
宮廷装飾画室では、『朝鮮時代宮廷行事図Ⅱ-韓国書画遺物図録第19集』(国立中央博物館、2011年)によって新しく調査・紹介された「文孝世子輔養庁契屏」が展示される。1782年、正祖(チョンジョ)の長男として生まれた文孝世子(ムンヒョセジャ、1782~1786)は1784年1月、輔養官の李福源(イ・ポグォン、1719~1792)と金熤(キム・イク、1723~1790)がはじめて挨拶を交わす行事が行われたが、その場面が描かれている。一般的な宮廷行事図に比べ、人物が比較的大きく描かれており、人物の動作と個性が自由に表現されている。また、服飾の季節感もはっきり表れていることも重要な特徴である。太子の教育にとくに力を入れていた朝鮮王室では、輔養官を任命し、太子との挨拶の儀式を慣例として行っていたが、それが行事図として残されたのはこの絵が唯一である。
国立中央博物館・絵画室では、今回で今年二回目に全面交替されることになる。今回の展示では、朝鮮時代の絵画の奥深さと美しさを感じることができると期待している。
絵1.尹斗緖、「老僧図」
絵2.金弘道、「蟹図」
絵3.作者未詳、「戸曹郎官契会図」
絵4.田琦、「渓山苞茂図」
絵5.作者未詳「文孝世子輔養庁契屏」
絵6.張承業、「花鳥・翎毛図」
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