大東幣
1882年に銀でつくった最初の近代的貨幣である。前面には“大東一錢”、“大東二錢”、“大東三錢”とあり、後面には小円の中に戸曹でつくったことを表す“戸”字がある。この遺物は大東一銭2点と大東二銭1点で、大東三銭はない。
この銀銭は清から購入した馬蹄銀(中国で巨額の取り引きを行う時に貨幣のように使用した馬蹄形の銀塊)3万両を原料にして戸曹で製作され、1882年11月から流通した。しかし、大東銀銭発行の根拠を示す記録がみられず、その名目や素材の価値が正確にわからず、それが貨幣本位の性格を帯びたものであるのかどうかもわからない。
さらに、大東銀銭は大半が海外に流出したり、財産蓄積用に退蔵され、ほとんど流通しなかった。原料である馬蹄銀の価格急騰で大東銀銭の製造原価が上がり、少量だけ鋳造されるにとどまり、発行から9個月が過ぎた1883年(高宗20年)6月には鋳造が中断された。