華角函
華角は、牛の角を薄く削って板状にした「角紙」の裏面に文様を描き、木製家具の表面に貼りつけるというもので、中国や日本では見られない朝鮮の独創的な装飾技法です。鼈甲の裏面に色をつけて装飾したのが始まりとされています。鮮やかな色の顔料で文様を施していて装飾性が高く、主にアンパン(奥の間。女性の生活空間)に置く家具や櫛など女性用の物に使われました。この箱には、華角で、想像力あふれる絵が描かれています。龍や虎、ヘテ(獬豸)、象といった動物をはじめ、童子や牡丹など福を招くとされる象徴物が角紙一枚一枚に描かれて組み合わせられています。背景に塗られた赤色は、邪気を払うという意味を持つほか、空間を華やかに飾ってくれます。朝鮮時代の女性たちの安穏な暮らしと美しさへの願望が華角函に表れています。
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